関節リウマチ(RA)は原因が充分に明らかにされていないことから、確立された治療方法がないのが現状である。こうした背景のなか、我々はRAの治療に針治療を併用しているが、針治療は関節の疼痛コントロールだけでなく、関節の腫脹に対しても治療効果があることを経験している。そこで、我々は針刺激は関節炎を抑制する作用があると仮説をたてた。実験方法は、タイプIIコラーゲンを免疫して関節リウマチのマウス動物実験モデルを作製し、手指関節炎症部位に針を刺して5分間放置する刺激を隔日に3回行い、1週間後にsacrificeした。そして、以下の5つに関して測定を行い、検討した。(1)手指関節炎をスコア法により測定する。(2)タイプIIコラーゲンに対する血中自己抗体価を測定する(ERISA法)。鼠径部、膝窩リンパ節、および脾臓の免疫細胞組成の検討(フローサイトメーター法)として(3)T細胞、B細胞の測定とその割合(4)T細胞中のCD4陽性細胞、CD8陽性細胞の測定とその割合(5)関節炎の病理組織の比較。 RAのマウス動物実験モデルに針刺激を行った針刺激群と針の刺激を行わないコントロール群の両群で(1)から(5)までを比較、検討をしたが、統計学的に有意な差を認めた実験結果は得られなかった。つまり本研究の仮説である「針刺激は関節炎を抑制する作用がある。」は否定される結果となった。
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