研究概要 |
本研究では近年登場したDNAマイクロアレイ技術により、天然生薬構成成分のターゲット遺伝子を同定し、各成分の生物学的作用をプロファイリングすることにより、「whole drugとしての生薬とpurifyされた各成分の作用がどのように違うのか?」といった問題の解決をin silico studyで行うことである。 1.膵臓癌細胞8株において、huU95A^<【○!R】>(Affymetrix, Santa Clara, CA)を用いた12600遺伝子のDNAマイクロアレイ解析を行い、遺伝子発現プロファイルを作成した。 この8株に対し、生薬黄連と主成分berberineのターゲット遺伝子のスペクトルを検討した。 すなわち、感受性(ID50)とその発現が相関する遺伝子の同定を行ったところ、一部の遺伝子は生薬黄連と主成分berberineの共通のターゲットであることが判明し、Int.J.Cancer 107:666-672,2003.にて報告した。 2.黄連構成成分である(berberine, palmatin, groenlandicine, epiberberine, coptisine, berberrubine, columbamine, tetrahydroberberine)を用いて、その増殖抑制効果をMTT assayにて検討し、各ID50と発現量の相関する遺伝子をリストした。これらのID50に基づきクラスター解析を行ったところ、生薬黄連とberberineがひとつのクラスターを形成し、残りの7成分が別のクラスターを形成した。この結果により、一成分であるberberineのみで生薬黄連の薬効を説明できるものでであり、その結果を論文として発表した(Life Sciences in press)。 3.その他、当該研究期間中にDNAマイクロアレイ研究として英文(17報:Impact Factor 合計78.714)・和文(3報)を発表した。
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