研究課題/領域番号 |
15590603
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50264875)
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研究分担者 |
白澤 信行 山形大学, 医学部, 助教授 (40133392)
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
羽野 卓三 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (90156381)
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キーワード | たこつぼ型心筋症 / エストロゲン / 動物モデル / 心臓 / 脳 / 交感神経 / 情動的ストレス / 遺伝子発現 |
研究概要 |
急性心筋梗塞に類似した「たこつぼ型心筋症」は、閉経後の女性が強い情動的ストレスに暴露された時に発症する。そこでラットの情動的ストレスモデルである、不動化ストレスを作成し、左心室造影と心電図を用いて心機能を評価した。その結果、左心室造影で特徴的な「たこつぼ型」の収縮不全と心電図でのST上昇を確認した。これらの変化はα+β受容体の遮断で抑制できた。すなわち、ストレスによる交感神経-副腎髄質系の活性化、カテコラミンの刺激が「たこつぼ型心筋症」の原因と考ええられた。さらに、閉経後女性で好発する機序を理解するため、エストロゲンに注目した。卵巣摘除(OVX群)およびエストロゲン補充ラット(OVX+E群)を用いて、エストロゲンレベルを変化させ、(1)ストレス負荷の前後における心電図と左心室造影を比較し、その変化を検討した。この結果、ストレス負荷により、%収縮は、OVX群で有意に低下したが、OVX+E群では低下しなかった。また心拍数はストレス負荷により共に有意に増加した。一方、コントロールでの心拍数には有意差を認めなかったが、ストレス時の心拍数はOVX群で有意に高かった。 (2)ストレス負荷後一定の時間で潅流固定し、摘出した脳を用いて、細胞興奮の遺伝子マーカーである、c-FosやNGFI-Aなどのimmediate early genes (IEG)に対する抗体で免疫染色を行い、脳の詳細なmappingを行い、中枢神経レベルで、エストロゲンレベルの変化に伴い、ストレス応答が変化する領域を検索した。その結果、いくつかの領域で、エストロゲンのレベルにより、IEG発現の程度に相違を認めた。現在、例数を増やして、確認中である。 (3)ストレス負荷後の心臓で、IEG mRNA発現のレベルをin situ hybridization法で比較した。その結果、OVX+E群では、IEG mRNAレベルが減少した。エストロゲンにより、心筋細胞の応答性が低下することが示唆された。 (4)心臓での交感神経線維密度をTyrosine hydroxylaseに対する抗体を用いた免疫染色、および組織内カテコラミン濃度を指標に比較した。その結果、エストロゲンレベルが高いと、交感神経線維密度が減少する傾向を示した。 今後、エストロゲン受容体との関係を検討する予定である。
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