研究課題/領域番号 |
15590609
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研究機関 | 筑波技術短期大学 |
研究代表者 |
青柳 一正 国立大学法人筑波技術短期大学, 附属診療所, 教授 (40114029)
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研究分担者 |
門奈 理佐 株式会社植物ゲノムセンター, 分子遺伝グループ, プロジェクトリーダー(研究職)
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キーワード | ネフローゼ / 活性酸素 / 遺伝子発現 / 和漢薬 / 多成分薬剤 / 薬効検定 / クレアチン / ミトコンドリア |
研究概要 |
ネフローゼを惹起するピューロマイシンアミノヌクレオシド(PAN)処理ラット、正常ラットの腎臓を用いて、薬剤を投与した後45分後から15日後まで、経時的にcDNAライブラリーを作成(クローン数の概算は1000/ライブラリ程度)し、大量シーケンシングを介した遺伝子発現プロファイルシステムにより発現解析を行った。 その結果、PAN処理ラット腎臓において過剰量の活性酸素の発生の原因と考えられる遺伝子発現の異常認められ、この遺伝子発現の変動はネフローゼにおける活性酸素生成の原因のひとつに成りうると考えられる。 それに付随して活性酸素消去系遺伝子の発現がPAN処理ラット腎臓において増加することが確認された。 PAN処理ラット腎臓で特異的に発現変化する遺伝子としては、クレアチン合成に関与する遺伝子の発現増加が見られた。さらに、サイトカインの一種であるオステオポンチンの発現増加が見られた。これは、カルシウムイオンと結合して骨基質となることから尿路結石の原因物質として有名であるが、最近、細胞の伸展や細胞間接着に関与することが明らかとなっている。PANによる腎障害はα-actinin-4の阻害による糸球体毛細血管の足細胞間の接着が弱まることが原因であるとの報告もあるが、オステオポンチンはα-actinin-4の働きを補う役割をしている可能性がある。この他、活性酸素の発生原因となりうるミトコンドリアの酵素群の遺伝子発現の異常が認められた. また、数種、機能未知なものも含めPAN特異的な発現変化が見られる遺伝子が検出された。 このように、動物実験モデルで変動するmRANの網羅的解析で興味深い結果が得られた。 このような結果から、多成分からなる和漢薬の薬効を検定するための、検討すべき多数の遺伝子が見出され、複雑系の薬剤の評価の新しいモデルができつつある.
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