ディフェンシンのヒト消化管粘膜自然免疫システムにおける機能解析

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15590610
• 研究機関: 旭川医科大学
• 研究代表者: 綾部 時芳 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90301019)
• 研究分担者: 高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
• キーワード: 自然免疫 / 内因性抗菌ペプチド / ディフェンシン / パネート細胞 / 生体防御 / 腸管上皮細胞 / 粘膜免疫 / 小腸

研究概要

ヒト小腸パネート細胞α-defensinに対する特異抗体を作製するためにHuman Defensin(HD)-5peptideを精製し、最終的な免疫原をHPLCで確認後アジュバンドとともに兎への免疫法により、抗α-defensin抗体を作製した。この抗体の免疫反応性を標品および組織材料を用いて検討し、その特異性を確認した。
ヒト単離小腸陰窩を正常腸内細菌,グラム陰性菌(S. typhimurium, E. coli),グラム陽性菌(S. aureus)などの様々な細菌または細菌抗原に曝露して,各々の分泌物を回収し解析した。単離小腸陰窩と培養後,単離陰窩のパネート細胞から放出される抗菌活性を指標として,ex vivoでヒト小腸パネート細胞分泌アッセイを行って,上清中の抗菌活性を測定した結果、検討した各種細菌はすべてパネート細胞分泌を誘導した。
大量の単離小腸陰窩からパネート細胞分泌物を回収し、HPLCおよび電気泳動法を用いて、分泌物蛋白と顆粒蛋白を分離した。これら材料におけるα-defensinを、本研究で作製した抗α-defensin抗体を用いたWestern blot法で検出した。
現在、ヒト小腸パネート細胞顆粒中およびその分泌物中の蛋白から免疫学的、生化学的性状を指標としてヒトパネート細胞α-defensinを検出、同定するとともに、抗菌活性との関係についてフラグメント解析装置を用いて検討を進めているところである。

研究成果

• [文献書誌] Watari J et al.: "Reduction of syndecan-1 expression in differentiated type early gastric cancer and background mucosa with gastric cellular phenotype"J Gastroenterol. 39. 104-112 (2004)
• [文献書誌] Mirza ZK et al.: "Gastric intestinal metaplasia as detected by a monoclonal antibody is highly associated with gastric adenocarcinoma"Gut. 52. 802-807 (2003)
• [文献書誌] Kohgo Y et al.: "Leukocytapheresis for treatment of IBD"J Gastroenterol. 38. 51-54 (2003)
• [文献書誌] Shibata N et al.: "Cell kinetics and genetic instabilities in differentiated type early gastric cancers with different mucin phenotype"Hum Pathol. 34. 32-40 (2003)