今年度の研究期間において以下の研究成果が得られた。 1、Con Aマウス肝炎モデルは雌マウスにおいて雄マウスに比べより重症の肝細胞障害が出現し、発症機序としてIFN-γ、TNF-αの他、CXCケモカインの一つであるMacrophage inflammatory protein-2(MIP-2)などの炎症性サイトカイン産生能の性差が関与することが明らかとなり、本モデルが自己免疫性肝炎の有用なモデルであると結論された。また、これらのサイトカイン産生調節に性ホルモンが関与することを明らかにした。 2、本モデルはIFN-γやTNF-αが肝細胞障害を引き起こすことがすでに報告されていたが、Kupffer細胞から産生されるマウスCCケモカインのMIP-1αがIFN-γやTNF-α産生を促進し肝障害発症に関与していることを明らかにした。 3、本モデルを用いてサイトカインやケモカイン産生抑制の面から肝障害発症を阻止しうる薬剤の検討を行った。その結果、細胞外マトリックスである高分子ヒアルロン酸や海藻由来の多糖体であるFucoidanがTNF-α、IFN-γ、MIP-2産生を抑制し、肝障害発症を阻止することを明らかにした。一方、内因性プロスタグランジン産生を抑制するNSAIDsは、サイトカインやケモカイン産生を促進し、肝障害を増悪させることを明らかにした。
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