CD81安定発現細胞株の作成:HCV結合蛋白として報告されたヒトCD81をPCRでクローニングし、シークエンスを確かめた後、安定発現用のベクターに組み込んだ。その組み換えベクターをCOS7細胞に導入し、G418による選択によってヒトCD81の安定発現細胞株を作成した。得られたコロニーのうち、免疫細胞染色においてCD81の発現量が多いものを選び(COS-CD81と命名)、以後のクローニングの実験に使用した。 HCV共存受容体のクローニング:HCVはCD81と共存受容体の両者を介して感染するとの仮定のもとに、COS-CD81細胞を用いて発現クローニングをおこなう。ヒト肝臓cDNAに由来する発現ベクターライブラリー(大腸菌型)より、cDNA1万ずつの単位で大腸菌プレートを作成しプラスミドDNAを抽出した。このDNAプール36個、計36万の独立cDNAをスクリーニングの対象とした。LipofectionによりCOS-CD81細胞にcDNAを導入し、その後24時間から、培養上清に高タイターの1型HCV含有血清を加えた。その48時間後に細胞からRNAを抽出し、高感度のnested RT-PCRを用いてHCV-RNAの(-)鎖の増幅をおこなった。これにより細胞内に侵入し増殖したHCVが検出されるはずである。なおHCV-RNAの(+)鎖は多くのPCR産物で検出されたため、スクリーニングには使用できないことも判明した。現在、36プールのPCRがほぼ終了し、陽性プールの検討をおこなっている段階である。
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