HCV共存受容体の発現クローニング: HCV結合蛋白として報告されたヒトCD81をPCRでクローニングし、その組み換えベクターをCOS7細胞を導入し、G418による選択によって安定発現細胞株を作成した。得られたコロニーのうちCD81の発現量が多いものを選び(COS-CD81と命名)、以後のクローニングの実験に使用した。 ヒト肝臓cDNAに由来する発現ベクターライブラリー(大腸菌型)より、cDNA1万ずつの単位で大腸菌プレートを作成しプラスミドDNAを抽出した。このDNAプール36個、計36万の独立cDNAをスクリーニングの対象とした。LipofectionによりCOS-CD81細胞にcDNAを導入し、その後、培養上清に高タイターのHCV含有血清を加えた。48時間後に細胞からRNAを抽出し、高感度の多段階nested RT-PCRを用いてHCV-RNAの(-)鎖の増幅をおこなった。36プールのうち、7つの陽性7プールが得られた。このうち1つのプールを600遺伝子ごとのサブプールに分割し、同様の導入・感染をおこないRNAを抽出、RT-PCRをおこなった。同様な5段階までのスクリーニングの結果、2つの独立陽性クローンを得た。しかし結果的にはこのクローンは疑陽性と考えられた。その後、cDNAプールサイズを1/10程度にさげ、またRT-PCRについても特異性がもっとも高いと報告されたTthポリメラーゼを用いた方法を変えて、再度スクリーニングをおこなった。この方法では1次スクリーニングで1つのサブプールのみ陽性であった。
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