研究課題
基盤研究(C)
我々は当該研究においてC型肝炎ウイルス(HCV)に対する新たな抗ウイルス療法の技術基盤を確立するため、ウイルス増殖モデルであるHCVレプリコンシステムを用いて、RNA interferenceを応用したHCV増殖抑制効果の解析を行い、今年度の成果として下記を得た。1.HC-J4株から独自に構築したレプリコンにおいて、特定のアミノ酸変異を有するクローンが高レベルのゲノム増殖を生じることを明かにした(J Viral Hepatitis 2004)。2.独自に開発したキメラ・リポーター発現レプリコンシステムを用いて、インターフェロン、リバビリン等の薬剤を用いたウイルス増殖抑制効果の定量的解析の結果を報告した(J Infect Dis2004)。3.HCVゲノムの5'非翻訳領域を標的とするsmall interfering RNA(siRNA)を設計・構築し、キメラ・リポーター発現レプリコン発現細胞に導入したところ、HCV増殖が有意に抑制され、ごく一部の配列に強い遺伝子破壊効果(最大96%)が認められた。さらに、細胞内でヘアピン型siRNAを発現するDNAプラスミドベクターを構築し抑制効果を確認した。以上の結果をEMBO Reportsに報告した。4.siRNAの細胞内における効果を持続させるため、siRNA発現アデノウイルスベクターを構築し、レプリコン発現細胞に感染させたところ、ウイルス増殖を持続的に抑制しウイルス増殖が完全に停止した。5.siRNA発現アデノウイルスをHCV構造遺伝子発現トランジェニックマウスに投与することによりウイルスたんぱく発現を持続的に抑制し、siRNAのin-vivoにおける効果を確認した。本研究の成果を基に、今後さらにウイルス感染小動物モデルを用いたsiRNA導入療法の有効性・安全性を検証し、抗ウイルス療法の基盤を形成していく。また、ウイルス増殖に関与する宿主蛋白をsiRNAの標的とすることにより、抗ウイルス療法の新たな標的分子の探索を遂行する予定である。
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