• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

トランスジェニックマウスモデルを用いた肝発がん制御分子の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15590631
研究機関金沢大学

研究代表者

中本 安成  金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (40293352)

キーワード癌 / ゲノム / ウイルス / 応用動物 / 内科
研究概要

慢性肝炎から肝がんへ進展するB型肝炎ウイルス表面抗原のトランスジェニックマウスモデルを用いて、肝発がんの病態機序を解析するとともに、発がんを制御する分子のスクリーニングを進めた。本年度の検討結果は、以下のごとくである。
a)肝発がんの病態の検討として、肝炎の誘導の際に行う各種の細胞免疫学的操作によって、前がん状態の異形性が変化し発がん率に違いが生ずることが分かった。異なるリンパ球分画によって誘導した慢性肝炎を観察したところ、CD8^+Tリンパ球、CD4^+Tリンパ球、B(CD19^+)リンパ球の順に肝組織の異形性の程度、発がん率(それぞれ、86%、24%、0%)に寄与していることが明らかになった(Cancer Res. : in press)。
b)肝がん組織において、ケモカインCCL3-CCR1経路の活性化を示唆する所見が得られたことから、発がん病態への関与が示唆された(Am.J.Pathol. 162 : 1249, 2003)。
c)肝組織を用いて、約2万個の遺伝子解析が可能であるDNAチップにて検討したところ、発がん過程に伴って2倍以上変化した遺伝子が10.4%存在した。これまで、肝細胞障害に重要なFasリガンド(FasL)を介する経路を抑制すると、肝炎が軽快し発がんが著明に減少するという結果を得ているので(J.Exp.Med. 196 : 1105, 2002)、FasL抗体の投与による影響を検討した。抗体の投与によって352遺伝子(1.7%)の発現が有意に変動していた(P<0.05)。このうち機能が予測される遺伝子が190個認められた。なかでも肝細胞の壊死・再生に関する遺伝子群が強く関与していた。
これらの結果から、発がん病態の細胞免疫学的特徴が明らかになるとともに、発がん過程に関与する遺伝子のスクリーニングを継続することによって肝発がんの制御に有用な遺伝子が絞り込まれる可能性が示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nakamoto Y, Suda T, et al.: "Different procarcinogenic potentials of lymphocyte subsets in a transgenic mouse model of chronic hepatitis B."Cancer Res.. (in press). (2004)

  • [文献書誌] Nakamoto Y, Kaneko S: "Mechanisms of viral hepatitis induced liver injury."Curr.Mol.Med.. 3(6). 537-544 (2003)

  • [文献書誌] Nakamoto Y, Kaneko S, et al.: "Analysis of the CD8-positive T cell response in Japanese patients with chronic hepatitis C using HLA-A^*2402 peptide tetramers."J.Med.Virol.. 70(1). 51-61 (2003)

  • [文献書誌] Lu P, Nakamoto Y, et al.: "Potential interaction between CCR1 and its ligand, CCL3, induced by endogenously produced interleukin-1 in human hepatomas."Am.J.Pathol.. 162(4). 1249-1258 (2003)

  • [文献書誌] Tsuchiyama T, Kaneko S, Nakamoto Y, et al.: "Enhanced antitumor effects of a bicistronic adenovirus vector expressing both herpes simplex virus thymidine kinase and monocyte chemoattractant protein-1 against hepatocellular carcinoma."Cancer Gene Ther.. 10(4). 260-269 (2003)

  • [文献書誌] Fuchizaki U, Kaneko S, Nakamoto Y, et al.: "Synergistic antiviral effect of a combination of mouse interferon-alpha and interferon-gamma on mouse hepatitis virus."J.Med.Virol.. 69(2). 188-194 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi