研究概要 |
胎生12.5日のマウス胎児肝から細胞を分離し、MACSビーズを用いて血液系の細胞を除いた後、細胞をin vitroで培養した。その細胞をHGFを含んだ培養液で7日間培養するとalbumin(肝細胞マーカー)とCK19(胆管系細胞のマーカー)を発現することが認められた。その未熟肝胆管細胞にEIA,EIB,E3遺伝子を欠失させたアデノウイルスに、CAGプロモーター下にラットHNF-4α2遺伝子を組み込んだHNF-4アデノウイルスベクター(AdHNF-4)を感染させ、HNF-4遺伝子を導入させた。その結果、HNF-4蛋白を発現した未熟肝胆管細胞においてalbumin、PXRやapolipoprotein A1等の肝細胞特異的遺伝子の発現増加が認められた。以上の結果は、未分化肝細胞においても成熟肝細胞と同様、HNF-4遺伝子導入によって肝細胞への分化が促進されることを示している。 ラット肝細胞を種々の細胞外マトリックス(コラーゲンゲル、EHSゲル)上で培養し、その遺伝子発現cDNAマイクロアレイを用いて網羅的に検討した。その結果、EHSゲル上で培養された肝細胞において、培養1日後にはCell Structureに関連した遺伝子群が誘導された後、培養3日後にはMetabolismやHomeostasisに関連した多数の遺伝子が誘導され、肝細胞への分化が促進されていた。また、コラーゲンルサンドイッチ法を用いて培養した肝細胞はRhoファミリーに関連した多くの遺伝子が誘導されていた。
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