研究課題/領域番号 |
15590638
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 孝晴 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (20135388)
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研究分担者 |
成瀬 達 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50180550)
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助手 (90303651)
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キーワード | アルコール性慢性膵炎 / CFTR多型 / 膵導管細胞 / エタノール / 過分泌 |
研究概要 |
日本人の慢性膵炎患者における遺伝的背景を調べるために、CFTR遺伝子変異および多型(TG repeats、poly T、M470V、Q1352H、R1453W)を解析した。健常人162人、アルコール性慢性膵炎患者51人、特発性慢性膵炎患者14人を対象とし、インフォームドコンセントを得た後、末梢血からDNAを抽出した。欧米および日本で報告されている29の嚢胞線維症原因遺伝子変異は見られなかった。poly Tの分布に有意な差は認められなかった。アルコール性慢性膵炎では、CFTRの蛋白量が減少する(TG)12ホモ接合体の頻度が健常群に比べて有意に高かった。特発性慢性膵炎では、CFTR機能が低下するV470ホモ接合体にQ1352HまたはR1453W多型を合併する頻度が高かった。日本人の慢性膵炎の発症にCFTR遺伝子の多型が関与している可能性が示された。また、アルコールが膵導管細胞のイオン・水輸送に影響を及ぼすのではないかとの仮説をもとに、モルモット単離小葉間膵管からの水分泌に及ぼすエタノールの影響を検討した。エタノールは1mM(ビール150ml程度の飲酒後の血中濃度に相当)という低濃度で、セクレチン刺激下の水分泌を可逆的に約70%増加させた。神経細胞以外で低濃度のアルコールの生理機能への影響をとらえた初めての研究である。通常の飲酒によって膵液の過分泌が起こっていることを示唆しており、何らかの膵液の流出障害がある場合には膵管内圧の上昇をまねき、膵障害を引き起こす可能性があることを示した。
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