研究概要 |
米国国立衛生研究所(NIH)との共同研究にてマウスの肝臓に感染した後、感染細胞からB型肝炎ウィルス粒子を分泌させることが可能なアデノウィルス(adeno-HBV)を用いたマウスB型急性肝炎モデルにおいて、免疫細胞の動態、ウィルス排除機能の解析を行っている。Adeno-HBVまたはコントロールウィルスであるadeno-LacZを投与、第1,3,5,.7,14日後に採血を行った後、屠殺し肝のリンパ球を分離しそのpopulationおよび機能解析を行った。まず、血中HBsAgはadeno-HBV投与後3日目にpeakを示し、徐々に減少し、9日目にはほぼ消失することが判明した。また、transminase値はHBsAgに相関するように5日目にpeakを認め、その後、徐々に低下した。Adeno-LacZ投与マウスにおいては3-5日目のpeakは認めなかった。一方、マウス肝内リンパ球におけるPopulation解析において、adeno-HBV投与マウスではadeno-LacZ投与マウスに比し、CDld tetramer positive細胞数の相対的減少を認めるとともに投与5日目にNK細胞数のpeakを認めた。NKT細胞数に2者の相違は認めなかった。さらにYac-1細胞をtargetにしたNK細胞障害活性は、adeno-HBV投与マウスにおいて投与5日目にマウス肝内NK細胞活性化がpeakを示した。NK細胞障害活性の結果はpopulation解析の結と合致した。しかし、脾リンパ球を用いた場合、populationおよびNK細胞障害活性においてadeno-HBVとadeno-LacZの間に相違は認めなかった。すべてのデータは揃っていないが現在の時点でHBVはNKT細胞を介しNK細胞を活性化させる作用があることが考えられる。
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