研究概要 |
1 In vitroにおける酸化ストレスとアポトーシスの評価 Tet-off遺伝子発現システムによりHCVコアタンパクの発現が調節可能な培養細胞(Huh-7)にデオキシコール酸(DCA)を添加しアポトーシスを誘導した。DCA刺激下では活性酸素の産生亢進とともにアポトーシスが誘導され、caspase 3,9の活性は亢進していたが、caspase 8の活性は変化していなかった。HCVコアタンパク発現時にはDCA誘導性アポトーシスは有意に抑制された。DCA刺激時にはBaxの細胞質からミトコンドリアへのtranslocationが亢進したが、HCVコアタンパク発現時にはこのtranslocationは抑制されなかった。しかし、DCA刺激時のBaxの発現量は細胞質、ミトコンドリアともにHCVコアタンパクにより若干抑制された。また、Bcl-XLはDCA刺激下にはその発現が低下したが、HCVコアタンパク発現時には明らかに増強していた。こうしたBcl2 family分子の挙動に一致して、DCA刺激下ではcytochrome Cの細胞質への明らかな流出を認めたが、HCVコアタンパクはこれを抑制した。 2 In vivoにおける酸化ストレスとアポトーシスの評価 全遺伝子を導入したHCVトランスジェニックマウス(HCV TgM)に極微量(20μg/kg body)の四塩化炭素(CCl_4)を腹腔内投与したところ肝組織でのアポトーシスを誘導しえた。非刺激時には肝内脂質過酸化物(TBARS)量はHCV TgMとコントロールマウス(C57BL/6)との間で差を認めなかった。一方CCl_4刺激時にはTBARSはHCV TgMにおいて有意に高値であったにもかかわらず、肝細胞のアポトーシスは有意に抑制された(Tunnel陽性細胞の比較)。
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