HBs抗原パルス樹状細胞(マウス):マウスの脾臓を摘出し、樹状細胞を単離した。樹状細胞に、HBs抗原100μgを加えて、48時間培養しパルスをおこなった。パルスを行わなかった樹状細胞と比較して、フローサイトメトリーによる観察ではCD86、HLA classの発現が亢進した。allogenic MLRではT細胞幼若化補助能は亢進し、培養液中のIFNγ、IL-12、TNFαなどのサイトカイン産生が有意に上昇した(P<0.05)。HBVキャリアモデルに対する治療ワクチンとしてHBs抗原パルス樹状細胞を1×10^6細胞/回、2週おきにHBVトランスジェニックマウスに腹腔内投与を合計2回行った。4週後には全例で、anti-HBs抗体産生を確認し、4ヶ月以上抗体の産生が持続している。免疫抑制されたマウスでも効果を確認した。 ヒト:学内の倫理委員会ヘプロトコールを提出し、十分な審査を受けた後に、承認された。ヒトの末梢血から樹状細胞を誘導し、HBワクチンを用いてHBs抗原パルス樹状細胞ワクチンを作成した。ワクチン作成時の培養上清中にエンドトキシンなどがないことを確認した。健常人ボランテェアへ十分なインフォームドコンセントを行った後に、樹状細胞ワクチンを皮下に投与した。投与後倫理委員会に提出したプロトコールに従い自覚症状の確認に加えて血液検査を実施した。副作用を疑う他自覚症状の出現はなく、また肝機能腎機能検査などにも異常は見られなかった。抗核抗体の誘導はなく、樹状細胞ワクチン療法の安全性を明らかにした。また2週間で抗原特異的な抗体の誘導を確認し、液性免疫誘導に効果があることを明らかにした。
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