研究課題
基盤研究(C)
炭酸脱水酵素遺伝子ファミリーの中で、特に炭酸脱水酵素-関連蛋白(carbonic anhydrase-related protein ; CA-RP)が大腸癌および消化管間葉系腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor ; GIST)さらに肺癌の増殖および浸潤におよぼす影響を検討し以下の結果を得た。1.大腸癌培養細胞株(Lovo)への遺伝子移入によりCA-RP VIIIの強制発現細胞株(Lovo-CA8)を作製し、細胞能(MTTアッセイ)および浸潤能(Chemotaxis chamber)を検討した。その結果、Lovoに比べLovo-CA8の増殖細胞数、浸潤細胞数が有意に多かった(p<0.05)。2.LovoおよびLovo-CA8細胞3x10^6個をヌードマウス(6週齢、雌、n=5)の背部に移植し、経時的に腫瘍径を測定した結果、移植後1-3週間の観察期間において、Lovoに比しLovo-CA8の腫瘍径が有意に大きかった(p<0.05)。3.GISTにおけるCA-RPの発現を免疫組織染色にて検討した結果、GIST26例中CA-RP VIIIが14例(54%),CA-RP XIが24例(92%)に発現していた。一方、GISTの由来とされるカハール介在細胞ではいずれのCA-RPも発現が認められなかった。4.GISTの培養細胞株(GIST-T1)への遺伝子導入により、CA-RP XIの強発現株(T1-CA11)を作製した結果、T1-CA11Iはwild typeのT1に比べ、増殖能および浸潤能が増強した。5.消化器癌以外の癌種として、肺癌におけるCA-RP VIIIの発現を免疫染色法により検討した結果、正常では肺胞繊毛上皮細胞にのみ弱い発現が見られたのに対し、扁平上皮癌の75%(n=24)、腺癌の68%(n=25)では浸潤先端部において強い発現が確認された。また、培養肺癌細胞株(PC9)への遺伝子導入によりCA-RP VIIIを強制発現させた結果、増殖能の増強が見られた。これまでCA-RPの生物学的機能は不明であったが、本研究によりCA-RP VIIIおよびXIが消化器癌の増殖および浸潤能を増強することが示された。同様の結果は肺癌でも確認されたことより、CA-RPはひろく癌細胞の進展に関わっていると考えられた。
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