研究課題/領域番号 |
15590660
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中尾 一彦 長崎大学, 保健管理センター, 助教授 (00264218)
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研究分担者 |
濱崎 圭輔 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50333521)
石井 伸子 長崎大学, 保健管理センター, 教授 (20088868)
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キーワード | 15d-PGJ2 / TRAIL / TNF-α / 肝細胞癌 / NF-κB |
研究概要 |
15デオキシΔ12,14-プロスタグランジンJ2 (15d-PGJ2)は、核内レセプターであるPPARγの生体内リガンドであり、サイトカイン・LPSによるNF-κB活性化の阻害やcyclo oxygenase2 (COX-2)への負のfeed back作用を介して抗炎症作用を持つことが知られている。一方、リセプターであるPPARγは、脂肪細胞の分化に必須の因子である他、肝臓、腸、血管内皮、血液細胞などでもその発現が確認されている。最近、PPARγのリガンドであるチアゾリジン化合物や、15d-PGJ2がある種の癌細胞や血管内皮細胞対して増殖抑制効果さらにはアポトーシス誘導能を持つことが報告され、注目されている。本研究では、肝細胞癌に対する15d-PGJ2の抗腫瘍活性を明らかにする目的で実験を計画した。 ヒト肝癌細胞HuH7に対して種々の濃度の15d-PGJ2を添加し、24時間培養後MTT assayによりCell viabilityを測定した。さらに、TRAIL (1〜5ng/ml)、TNF-α (50〜200ng/ml)と15d-PGJ2を併用することで細胞傷害活性が増強されるか検討した。MTT assayの結果、15d-PGJ2 (25μM)でCell viabilityはコントロールの80%に低下したが、単独では細胞障害性を示さない濃度のTRAIL (1ng/ml)、TNF (100ng/ml)をそれぞれ併用添加するとCell viabilityは30%まで低下した。実際にアポトーシスが誘導されているかFlow cytometryによるhypodiploid DNA検出を行ったところ、15d-PGJ2 (25μM)単独で16.8%、TRAIL (1ng/ml)の併用で91.4%、TNF (100ng/ml)の併用で75.0%の細胞にアポトーシスが誘導されることが解った。さらに、TRAIL、TNF-αは細胞生存シグナルのひとつであるNF-κBを活性化することから、TRAIL、TMF-αの存在下において、15d-PGJ2がNF-κB活性化に与える影響をゲルシフト・アッセイ、NF-κBシス配列を用いたルシフェラーゼ・アッセイにより検討した。その結果、15d-PGJ2(25μM)を添加することでTRAIL、TNF-αによるNF-κBのDNA結合能や転写活性が有意に抑制されることが明らかとなった。15d-PGJ2はHuH7細胞におけるNF-κB生存シグナルを阻害することでTRAIL、TNF-αによるアポトーシスを増強することが示唆された。
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