研究概要 |
1)生検で得られたBarrett粘膜を3分割し,一方を組織学的ならびに免疫組織学的検討を行った.他方は95%O_2 5%CO_2 37℃下で10%FCS加培養液にて器官培養を行った.酸曝露は0.1mol/LHCl添加によりpH4.0条件で1時間曝露後中性環境に戻したところ.酸曝露前後で転写因子SOXは低下,CDX2,COX2は増加傾向を示し,COX1は不変であった.これらの傾向は統計学的に有意とはならなかったが,バラツキはBarrett粘膜の組織学的heterogenietyに起因する可能性は否定できない.一方BrdUによる細胞増殖能は酸曝露後に有意に上昇した. 2)Narrow Band Imaging(NBI)内視鏡と通常内視鏡によるBarrett粘膜の観察能を定量的に評価した.NBI内視鏡は通常内視鏡よりpit構造の描出能が有意に優れ,特に微小な再生扁平上皮島(micro-squamous island)ならびに粘膜表層毛細血管網を検出する手段として特段の有用性が証明された.そこで酸分泌抑制剤投与前後(6ヶ月間)のBarrett粘膜性状についてNBI内視鏡により観察を行い粘膜pit-pattern, vasvular network pattern, Barrett粘膜長,ならびに新たに出現した重層扁平上皮島の数について検討した.pit pattern, vasvular network pattern, Barrett粘膜長にはほとんど変化を認めなかったが,重層扁平上皮島の数は有意に増加した.粘液組成の変化についてはMUC5AC, MUC6の発現増加ならびにsulfo-Le^a詳sialylTnの発現減少傾向を認めた.また前後でのアポトーシス関連蛋白の変化は認められなかった.
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