研究課題
大腸に多量に存在するPPARγ(Peroxisome proliferator activator gamma)はその生理的役割は依然不明である。また、多くのがん細胞にも多量に発現しておりその機能解明は重要であると考えられる。今回の研究では大腸上皮における細胞増殖と形態形成に焦点を当てて大腸上皮・大腸癌におけるPPARγの役割解明を目指した。PPARγのノックアウトマウス(PPARγ^<+/->)を用いてノックアウトで大腸前癌病変であるACF(aberrant crypt foci)の形成が多く、かつ大腸上皮のβ-cateninが減少していることを見出した。β-cateninは大腸癌においては重要な役割を果たしていることがこれまで知られており、特に細胞内で核へ移行して転写因子として働くことが知られている。今回の我々の結果ではPPARγの活性化は大腸上皮のβ-cateninの蛋白量を増加せしめるが、核内への移行はしないようである。以上の結果から我々はPPARγは大腸上皮細胞内でβ-cateninと会合してβ-cateninのリザーバーとしての役割を果たしていると考えられた。一方、大腸癌細胞HT-29において、PPARγの活性化と阻害はいずれもMTTアッセイで細胞増殖を抑制することを見出した(釣鐘型増殖曲線)。この結果は癌細胞はPPARγ活性に関しては最も細胞増殖能が高いように調節されている可能性を示唆するものである。また、siRNAによるPPARγのサイレンシングは細胞の接着阻害を起こし、細胞が剥離・浮遊し、最後はアポトーシスにいたることを見出した(アノイキス現象)。
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