研究概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)は世界中で年間百万人がHBVによる肝細胞癌で死亡しているが、その治療法はいまだ確立されていない。そのHBVは現在世界中にAからHまでの8つのgenotypeが報告され、そのgenotypeにより臨床像が異なるとされているがその詳細は不明である。そこで、すでに世界17ヶ国から集めた2,000検体を使用してそのgenotypeの地理的分布およびその臨床像について検討した。その結果、HBVのgenotypeはAからGまでの7つに分類され、さらにsubtypeとしてgenotype Aはアフリカやアジアに多く肝がんの多いAaと予後良好でヨーロッパに多く肝がんになりにくいAeに分類されることを明らかにした。また、genotype Bは日本以外のアジアに存在し若年肝がんが多いBaと日本に多く予後良好のBjに分類され、さらにBaは予後不良のgenotype Cのcore領域とrecombinationを起こしていることを明らかにした(Sugauchi F, Mizokami M.et al., Gastroenterology 2003)。さらに、genotype Fは、従来genotype Hと報告されていたF2と元来のgenotype FであるF1のsubtypeに分類された(Kato H.Mizokami M.et al., submitting)。今後、この違いがこれらのgenotype, Subtypeのどの部位によるかの検討が必要であると思われる。
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