B型肝炎ウイルス(HBV)は1965年Blumbergにより発見されたが、1988年その全遺伝子配列を比較して8%以上異なる配列を異なる遺伝子型(genotype)としてAからDの4つのgenotypeに分けられた。その後、現在までに分子進化学的分類でAからGの7つのgenotypeの存在が確認され、最近8番目の可能性のあるgenotype Hも報告されている。 このHBV genotypeの大きな特徴は異なる地理的分布をしていることである。すなわち、genotype Aはヨーロッパ、アフリカ北部、インド、アメリカに、genotype BとCはアジアに、genotype Dは地中海地域、中近東、南アメリカに、genotype Eは西アフリカに、そしてgenotype FとHは中央、南アメリカに各々局在している、genotype Gは新しく発見されたこともあり現在まだ不明である。 Genotype Aと一部のCとFでは1858番目の遺伝子がCであるため、1986番目の遺伝子のGからAへの遺伝子変異が起こり難い。その結果そのcodonがstop codonに変化し難くHBe抗原の産生が持続する。その結果、これらのgenotypeでは他のgenotypeと異なりHBe抗体に変化し難い。その結果これらのgenotypeに感染しているcarrierでは病状は進展しやすいことが明らかになった。このことは現在のHBVの病態の違いや抗ウイルス療法に対する反応性の違いがこのgenotypeの違いにより説明出来るようになると思われた。
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