研究概要 |
1.胃粘膜上皮細胞におけるprotease-activated receptor (PAR)の発現とPAR活性化によるIL-8産生機構について検討した。 1)胃粘膜上皮細胞(MKN-45)上には、恒常的にPAR-1およびPAR-2のmRNAおよび蛋白が発現していた。 2)PAR-1の合成アゴニストおよび天然アゴニスト(トロンビン)、PAR-2の合成アゴニストおよび天然アゴニスト(トリプシン、トリプターゼ)は、用量および時間依存性にIL-8の産生を誘導した。 3)PARを介したIL-8産生には、P-38MAPkinase, ERK1/2,NFkappaBおよびAP-1が関与していた。 2.アスピリンによるラット胃粘膜傷害におけるPAR活性化の影響を検討した。 1)ラット胃粘膜には恒常的にPAR-1およびPAR-2のmRNAが発現していた。 2)ラットのアスピリン胃粘膜傷害は、PARアゴニストの投与により軽度悪化した。 3)アスピリンおよびPARアゴニスト投与群では、粘膜中の炎症性サイトカイン、好中球浸潤が増加していた。 以上より、胃粘膜上皮細胞に発現しているPARの活性化は、サイトカイン産生を介して胃粘膜傷害の発症および進展に関与することが明らかとなった。
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