研究概要 |
ラットアルギニン膵炎モデルでは、アルギニン投与3日後より腺房細胞が脱落又は変性、duct-like tubular complexの組織像を呈し、その後、腺房細胞の増殖、腺房の再生が観察された。アルギニン投与3日後の増殖した膵管には、BrdUおよびPCNA陽性細胞が散在していた。そこで、増殖細胞の出現が認められ始める、アルギニン投与3日後において、膵の分化増殖能を持つ細胞マーカーの候補としてc-Met, PDX-1, Nestinの発現を免疫組織学的に検討した。 c-Metは正常膵において血管上皮に発現が認められ、膵炎後の再生増殖期に有意な発現の増強は認めれらなかった。PDX-1の発現は増殖した膵管細胞に強く見られ、その膵管を取り巻くようにNestinの発現を認めた。 膵炎後再生過程では、膵管細胞は増殖しduct-like tubular complexを呈し、その後腺房細胞の増殖が見られる。これらの結果より、duct-like tubular complexに腺房細胞への分化能を持つ前駆細胞が存在し、PDX-1はその前駆細胞のマーカーとして有用であると考えられた。今後、この前駆細胞を分離し、in vitroでの、膵腺房細胞への分化誘導を試みたい。
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