研究概要 |
1)real time PCRおよびflow cytometryによる解析 5種類の肝癌細胞株とChang liver cellを用いて、10種類のCCケモカインレセプター、6種類のCXCケモカインレセプター、XC, CX3Cケモカインレセプターの合計18種類のケモカインレセプターのmRNA発現をreal time PCR法で検討した。その中で、CXCケモカインレセプターCXCR4はChang liver cellとPLC/PRF/5(Al)で強く発現しており、CCケモカインレセプターCCR6はHuH7、Al、HepG2で強く発現していた。次に、細胞表面に表出されたレセプターをflow cytometerで検討した。real time PCRでCXCR4 mRNA発現の多かったChang liver cellとAlではCXCR4が強く表出されており、HuH7やHepG2でもCXCR4の表出が確認できたが、HLEやHLFでは表出は見られなかった。 次に、CCR6の発現を検討したが、real time PCRでmRNA発現量の多かったHuH7、Al、HepG2の三種類の細胞では、同様に、CCR6が強く表出されていた。 2)ケモカインレセプターの表出とケモカインの産生 CXCR4のリガンドであるSDF-1をRT-PCR法で検討したところ、HuH7、Al、HepG2の三種類の細胞でSDF-1のmRNAの発現がみられた。さらに、Alの培養上清ではSDF-1がELISAで確認された。同様に、CCR6のリガンドであるMIP-3αのmRNAの発現はHuH7、Al、HepG2の三種類の細胞で確認され、その三種類のcell lineの培養上清ではMIP-3αがELISAで確認された。 以上より、HuH7では、MIP-3αとそのレセプターCCR6が発現していることが示されたので、HuH7をMIP-3α存在下で培養し、MTT assayを行うと、濃度依存性に細胞増殖の亢進がみられ、肝癌細胞でもCCR6-MIP-3αを介してケモカインがautoまたはparacrineに働き、細胞増殖に働く可能性があると考えれた。
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