昨年度の研究において、5種類の肝癌細胞株で18種類のケモカインレセブターの発現を検討した。結果、ケモカインレセプターCCR6の表出が増強していることが明らかとなった。また、肝癌細胞株Huh7はCCR6を表出するのみならず、CCR6のリガンドであるMIP-3αを産生することも判明した。 Huh7細胞のCCR6mRNAに及ぼすMIP-3αの影響 Huh7細胞をMIP-3αで刺激することにより、14時間後まで時間依存性にCCR6のmRNAが増加することがreal-time PCR法により示された。 Huh7細胞の増殖に及ぼすMIP-3αの影響 Huh7細胞をMIP-3αで刺激することにより、12.5ng/mlを至適濃度として、Huh7細胞が増加することがMTT assayで示された。 MIP-3α添加によるHuh7細胞の増殖におけるシグナルトランスダクションの解析 MIP-3α刺激下のHuh7細胞の増殖がMAPKの阻害剤であるPD98059により濃度依存性に阻害されることより、この増殖のシグナルはMAPKを介していることが判明した。さらに、Huh7細胞においてPD98059を添加することでP44/42 MAPKのリン酸化のみが阻害され、SAPK/JUNやp38MAPKのリン酸化の亢進がみられなかったことより、MIP-3α刺激下のHuh7細胞の増殖はP44/42 MAPKのリン酸化を介していることが明らかとなった。 ヒト肝癌組織におけるCCR6の検討 現在、ヒト肝癌組織におけるCCR6の表出を免疫組織化学の手法やin situ hybridizationを用いて検討している。
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