大腸癌、クローン病、および潰瘍性大腸炎患者から外科的に切除された下部消化管を用いて、CHAPSを含有する組織溶解液を用い、腸管ホモジェネートを作成した。正常対象としては、大腸癌患者の非癌部健常粘膜を用いた。得られたホモジェネートから超遠心分離を行い、まず細胞分画を分離した。ついで孔経22ミクロンのミリポアーフィルターにて可溶性分画を分離した。抗ヒトHLA-DP抗体を固層化した免疫吸着カラムに、上記可溶性分画を流入し、抗HLA-DP抗体と可溶性分画中のHLA-DP分子の結合を行った。免疫吸着カラムを十分に洗浄した後、pH10.5のアルカリ性分離バッファーにて抗HLA-DP抗体と結合していたHLA-DP分子を分離溶出した。上記にて得られたHLA-DP分子には、その抗原把握部位に抗原提示細胞から提示された抗原ペプチドが結合していると想定される。得られたHLA-DP分画をDS-PAGEにて分離解析したところ、その分子量から得られた分画はHLA-DP分子であることが判明した。このHLA-DP分子には抗原提示部分となるペプチドがその抗原提示間隙にとらえられているので、塩酸の添加により溶液のpHを酸処理を行うことによりHLA-DP分子の抗原把持間隙から抗原ペプチドの分離を行い、分子量1万の限外濾過膜によりHLA-DP分子と低分子である抗原ペプチドの分離を行った。免疫吸着カラムに使用する抗HLA-DP抗体に関していくつかの検討を行い、高力価で効率的にHLA-DP分子を結合できる抗体が決定できた。
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