平成15年度は、当初の予定通り、まずコントロールラットから各種マクロファージ(Kupffer細胞、脾マクロファージ、肺胞マクロファージ)を採取し、RPMI1640培地に浮遊して細胞数を調整した後、エンドトキシン添加、非添加条件下に各細胞を培養し、得られた細胞分画をTRIzol試薬で処理して総RNAを抽出し、それぞれについてRT-PCRを行って、β-アクチン、Toll-like receptor (TLR)4、TNF-αのmRNA発現を検討し、TNF-α産生量と対比検討した。なおcDNAはMMLV、ランダムプライマーを用いて作製した。その結果、TNF-αmRNA発現量はKupffer細胞、脾マクロファージ、肺胞マクロファージの順に多くなり、TNF-α産生量の成績と一致した。TLR4発現量はマクロファージ間で特に差を認めず、エンドトキシン刺激時に減少する傾向が認められた。一方TNF-αmRNA発現量はエンドトキシン刺激時に増加し、TLR4発現量との間に解離が認められた。次に各マクロファージのTNF-α産生に及ぼすEP-4受容体アゴニストの影響を検討した結果、EP-4受容体アゴニストはエンドトキシン添加、非添加両条件下でKupffer細胞、脾マクロファージのTNF-α産生を抑制することが明らかになった。今回の実験条件ではTLR4発現の検出感度になお問題が残ったため、次年度さらにこの点を改善した上で、TLR4発現とTNF-αmRNA発現の関係を解明し、続いて各種肝病態での検討に移る予定である。
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