研究課題/領域番号 |
15590678
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
|
研究分担者 |
藤本 正男 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (60295805)
美登路 昭 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (10382285)
|
キーワード | エンドトキシン / Toll-like受容体 / マクロファージ / アルコール性肝障害 / 多臓器不全 |
研究概要 |
平成17年度は当初、慢性アルコール投与ラットおよび急性肝不全ラットにおいて各種マクロファージ(Mφ) (Kupffer細胞、肺胞Mφ、脾MΦ)のToll-like receptor (TLR)4、CD14、TNF-αmRNA発現を検討する予定であった。まず、慢性アルコール投与ラットでの実験を行ったが、急性エタノール投与ラットの場合と同様に一定の傾向が得られず、MφにおけるTNF-α過剰産生の原因としてTLR4の関与を証明できなかった。続いて、ガラクトサミン(GALN;1g/kg体重)投与急性肝不全ラットの実験ではCD14 mRNAとTNF-αmRNAは平行して増加する傾向にあったが、TLR4 mRNAはこれらとは関係なく変動した。これらの成績から、内因性エンドトキシン(LPS)刺激下の各臓器マクロファージのTNF-α産生は必ずしもTLR4 mRNAの発現量には依存しておらず、この時点でTLR4を介さない未知の系の存在が示唆された。しかし、これら一連の実験には常に各種Mφを一定条件で採取することの困難さ、Mφから安定した収量のmRNAを得ることの困難さがつきまとうものであったことから、より解析しやすい実験条件を求めて次に急性肝不全ラットの臓器全体でのTLR4、CD14、TNF-αmRNA発現を検討した。その結果、肝におけるTLR4、CD14、TNF-αmRNA発現は平行して増強していたのに対し、肺、脾では大きな変化はみられず、TLR4-αmRNA発現についてKupffer細胞の成績と肝全体の成績に解離がみられた。これらを踏まえ、MφのTLRとエンドトキシン処理機構の関係の検討にはさらなる手技の熟練と新しい手法の導入が必要と考えられた。次年度にTLR拮抗薬の効果の検討とより重症な多臓器不全モデルであるGALN+LPS投与ラットでの検討を加え、最終報告することとした。
|