研究課題/領域番号 |
15590682
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
中山 伸朗 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40292015)
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研究分担者 |
松井 淳 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40260484)
持田 智 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20219968)
名越 澄子 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50306271)
稲生 実枝 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70286037)
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キーワード | アポトーシス / HepG2細胞 / エタノール / アセトアミノフェン / セリンプロテアーゼ |
研究概要 |
HepG2細胞株をヒト肝細胞のモデルとして用いた。HepG2細胞をacetaminophenで処理後、セリンプロテアーゼを中心にアポトーシスのシグナル伝達機構を検討した。acetaminophenは用量、時間依存性にHepG2細胞にアポトーシスを惹起した。acetaminophen処理後、HepG2細胞のミトコンドリアの膜電位は用量に関わらず24時間目まで低下し、以後一定の値となった。このアポトーシスはzVAD-fmkとTLCKにより、有意に抑制された。acetaminophen処理後、HepG2細胞でカスパーゼ-3、-9、セリンプロテアーゼの活性化が観察された。TLCKによりミトコンドリアの膜電位の低下は部分的に抑制された。次いで細胞溶解液中のセリンプロテアーゼ活性の測定に適した基質選定するため、多数のMCA基質をそれぞれ10μMの濃度で細胞溶解液に加えてacetaminophen処理前後の蛍光輝度の変化を測定し、比較した。Boc-Gly-Lys-Lys-MCAが感度および特異性において最良の基質と判明した。HepG2細胞をacetaminophen(5.0mM)で処理後、細胞より蛋白を抽出した。SBTIを固定化したアフィニティーカラムに試料を添加し、0.1M酢酸と1M NaClによるpHとイオン強度の勾配で溶出したが、セリンプロテアーゼ活性の高い分画は得られなかった。酵素活性測定の検討で、有用であった基質はplasmin特異的なものであったことから、lysineを固定化したアフィニティーカラム基質において、同様の検討を行った。1M NaClによるイオン強度勾配による溶出で、セリンプロテアーゼ活性の高い分画が得られた。限外濾過法で試料を濃縮して、SDS-PAGEの後、銀染色にて解析した。 これらの結果よりアセトアミノフェンによる肝細胞のアポトーシスは、TLCK sensitiveなセリンプロテアーゼの活性化により開始することが示唆された。またこのセリンプロテアーゼは、plasminに類似した構造を有する蛋白である可能性が考えられた。
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