研究概要 |
Crohn病は肉芽腫形成、全層性炎症を特徴とする難治性慢性炎症性腸疾患であり、我々の研究グループではこれまでに腸管粘膜局所における腸管腔内抗原に対するTh1型優位の免疫反応が本症での組織傷害を惹起していることを明らかにしてきた。本研究は自然免疫系および獲得免疫系を制御している樹状細胞に注目し、本症のTh1型免疫反応誘導機構における重要性を明らかとする目的で、腸間膜リンパ節より樹状細胞を単離する方法を確立し、腸管内抗原提示における樹状細胞の機能異常を追究した。 まず、ヒト手術検体より腸間膜リンパ節を得、酵素処理、ホモジェナイザー処理により単細胞浮遊液を調整した。比重遠心法により単核球画分を得て、磁気細胞分離装置を用いてCD3,CD14,CD16,CD19,CD20,CD56陽性細胞を除去後、CD4陽性MHC classII^<high>の樹状細胞を単離した。Crohn病ではCD11c陽性のmyeloid DCがCD123陽性のplasmacytoid DCに比して増加していた。allogenic MLR activityは、Crohn病、潰瘍性大腸炎ともに増強していた。一方、同時に腸間膜リンパ節より単離したCD4陽性T細胞は、Crohn病においてIFN-γを、潰瘍性大腸炎においてIL-4を優位に産生しており、腸間膜リンパ節内での樹状細胞による抗原提示が、Crohn病におけるTh1型免疫反応誘導に重要であることが示唆された。今後、NKT細胞などを用いてTh1/Th2バランスを是正する新しい治療法を開発する予定である。
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