研究課題/領域番号 |
15590697
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
石川 哲也 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10288508)
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研究分担者 |
奥村 明彦 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70288512)
各務 伸一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10115545)
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キーワード | B型肝炎ウイルス / トランスジェニックマウス / CTL / DNAマイクロアレイ |
研究概要 |
我々は、B型肝炎ウイルス(HBV)トランスジェニックマウス(tg)にHBV抗原特異的CTLを移入することにより惹起される肝炎モデルを用い、肝炎の病態、及び炎症進展機序に関する検討を行ってきた。このモデルにおいては、CTL移入後、CTLの抗原表出肝細胞に対する直接障害(apoptosis)、Tリンパ球、多核白血球など非特異的炎症細胞浸潤により引き起こされるfocal necrosis、肝細胞がHBs抗原を蓄積している場合に主としてマクロファージにより引き起こされるmassive necrosisというように経時的、段階的に炎症は進展し、肝組織像としても、ヒトにおける急性肝炎(focal necrosis)、劇症肝炎(massive necrosis)に類似する。現在までに、focal necrosisからmassive necrosisに至る過程では、TNF-α、IFN-γが重要な役割を果たすことが明らかにされている。また、CTL移入後の肝障害はCTLクローン毎に異なり、クローン間でALT値に10倍以上の差を認め、移入後の炎症の経過、転帰も異なってくる。肝障害の程度の差はCTLの産生するTNF-α、IFN-γなどのサイトカインの量によるものではないことが現段階でわかっており、CTLの活性化の程度、接着因子の発現の程度など、CTL自身に関連する何らかの因子によって規定されていると考えられる。 このモデルにおいて、CTLの肝細胞への直接障害の後、何故、炎症局所に非特異的な細胞浸潤がもたらされ炎症が増幅されるのか、肝炎の重症化に関わる宿主側の因子は何なのか、肝炎が治癒するもの、遷延するものの差はどこにあるのか、などの問題を、包括的かつ効率的に解析するために、DNAマイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析を用いての検討を行っている。
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