研究概要 |
健常人の末梢血から100mlの血液を採取し、パーコールによる濃度勾配法にて単核球を分離し、ゼラチンをコートした培養ディッシュで7日間培養し培養ディッシュに付着した紡錐形の細胞に対して血管内皮前駆細胞のマーカーであるCD34,CD133に対する抗体を用いて蛍光抗体法にて免疫染色を行いCD34,CD133陽性であることを確認した。つぎに、この血管内皮前駆細胞とヒト臍帯静脈由来の細胞株であるHUVECとをともに、ゼラチンをコートした96穴の培養ディッシュに2000個/dishの割合で撒き、血管新生抑制物質であるエンドスタチンと同じく血管新生抑制を有するKringle1-5を0,20pM,200pM,2nM,20nM,200nMの濃度で加え72時間培養後に生細胞数測定試薬SFを添加し1時間後の呈色反応後にマイクロプレートリーダーにて450nmの吸光度を測定した。その結果、HUVECに比べて血管内皮前駆細胞はエンドスタチンおよびKringle1-5に対しても濃度依存性に増殖が強く抑制された。さらに、ラットの血管内皮前駆細胞株で33度で培養すると分化しないが、37度で培養すると内皮細胞に分化する性質を有するTR-BME細胞を33度で培養した群と37度で培養した群とに分けヒト血管内皮前駆細胞とHUVECで行った同じ条件でエンドスタチンおよびKringle1-5の増殖抑制効果を比較した。その結果、やはり血管内皮前駆細胞のままでいる33度で培養した細胞の方が強く増殖を抑制された。現在、エンドスタチンおよびKringle1-5のcDNAをレトロウイルスベクターに組み込む実験を行っているところである。ベクターが完成したら、そのベクターを293T細胞に感染させamphovirusを作成した後、さらに感染性の強いGALVvirusを作成しレトロネクチンを用いて骨髄細胞に対し感染実験を行いウェスタンブロットにて培養液中のエンドスタチンおよびKringle1-5の分泌を確認する予定である。
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