研究課題/領域番号 |
15590703
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
田代 充生 産業医科大学, 医学部, 助手 (20341498)
|
研究分担者 |
田口 雅史 産業医科大学, 医学部, 助手 (80369058)
大槻 眞 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030916)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2006
|
キーワード | アルコール性膵障害 / 膵星細胞 / 抗酸化剤 / matrix metalloproteinase |
研究概要 |
エタノール(EtOH)の慢性摂取によって惹起されるアルコール性膵障害の病態解明のために、まずin vivoの検討として、Tsukamotoの方法でラットに恒久的胃瘻を作製してEtOHを投与したところ、比較的高濃度である18g/kg/日までのEtOHを12週間投与することが可能であったが、膵の光顕像では膵炎像は認めず、腺房細胞の形態はよく保たれていたことから、ラットにおいてはin vivoでEtOHを単独投与してもヒトに比べて膵障害は軽微であると考えられた。次にin vitroの検討として、ラットから分離培養した膵星細胞(PSC)にEtOHを添加したところ、またPSCの細胞増殖とαSMA発現増加が認められたことから、EtOHはPSCを活性化した。またEtOHはPSCからのコラーゲン分泌も刺激した。抗酸化剤であるEGCGはEtOHによるPSC活性化、コラーゲン分泌、活性型TGF-β分泌を抑制した。EGCGはp38MAPKのリン酸化を抑制し、さらに総SOD活性、細胞膜過酸化脂質産生、Mn-SOD及びCu/Zn-SOD遺伝子発現を抑制した。また静止期のPSCは培養で活性化PSCへと形質転換したが、EGCGは、PSCは形質転換せず静止期に留まった。次にPSCを通常の非コートプレートあるいはマトリゲルバイオコートプレート上で培養し、PDGF-BBあるいはEtOHで刺激したところ、PSCはPDGF-BBあるいはEtOHのいずれの刺激においても、細胞増殖能および遊走能が上昇した。PDGF-BBあるいはEtOH刺激下にmatrixmetalloproteinase(MMP)inhibitorを添加したところ、PSCの細胞増殖能と遊走能は低下し、活性型MMP-2蛋白活性も低下していた。以上のことから、抗酸化剤であるEGCGやMMP inhibitorは膵線維化を抑制する可能性が示唆された。
|