研究概要 |
まずHelicobacter heilmannii(HHLO)感染モデルを作成した。すなわち、HHLO感染C3Hマウス10匹の胃粘膜および胃粘液homogenateを胃管を用いてC57BL6マウス50匹に投与した。投与後、1,2,3,6ヶ月後の胃粘膜組織はrapid urease testにより強陽性を示し、感染成立が確認された。その際、胃組織は軽度の胃炎を認めた。 次に、H2 blockerのcimetidine(30mg/kg),proton pump inhibitorのlansoprazole(10mg/kg)を3日間連続して経口投与し、その翌日に胃組織を採取し、胃粘膜上皮細胞の変化をapoptosisおよび脱分化の点から検討した。すなわち、apoptosisは、Tunel法、caspase 3,caspase 8免疫活性、脱分化は、Brdu投与、免疫組織化学およびMUsashi-4免疫活性の点から主にH,K-ATpase免疫活性との比較より検討した、その結果、H2 blocker投与群において、壁細胞のapoptosisに陥る確率の有意の上昇を認めた。また、逆に一部の壁細胞では2核の細胞の割合が増加し、BrdU陽性所見も認め、壁細胞の脱分化を示す所見と考えられた、これは、HHLO感染持続は、胃粘膜組織の安定性の低下をもたらし、酸分泌抑制剤、特にH2 blocker投与前の除菌が必要であることを示唆すると考えられた。 HHLO培養に関しては、O2 tension、CO2 tension,培地の変更などを行ったが、いずれも早期に生菌が消失しており、いまのところはっきりした結果は得られていない。しかし、胃組織を用いたsemiorgan culture系では数時間の培養が可能となっており、Helicobacter pyloriと比較した際に粘膜深部への侵入というHHLOに特異的な所見が再現された、この点については、その方法などについてさらに改良中である。
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