研究概要 |
1.DNA-PKcs変異を導入したgpt deltaマウスを用いたin vivoにおける自然発生及びAOM誘発突然変異体頻度及び変異スペクトラムに対するhaploid insufficiencyの影響 欠失型変異検出系(Spi^- assay)を用いて、ヘテロ接合体(scid/+)の大腸粘膜DNAについて解析した。自然発生突然変異では、scid/+の突然変異体頻度は10^6個のプラーク当たり各々7.8,2.7,2.2,3.7,37.4,70.8,1.5,1.4,1.2だった。他の個体に比較して10〜20倍高かった2個体の変異プラークの大部分は同一変異であり、1種類の変異体が細胞増殖により増幅したと仮定すると、scid/+は平均10^6個のプラーク当たり3.1±2.1だった。ホモ接合体(scid/scid)及び野生型(+/+)の10^6個のプラーク当たり2.3±1.5,2.4±1.3とscid/+に有意な差は認められなかった。AOM誘発突然変異において、scid/+は平均10^6個のプラーク当たり25.9±12.5であり、scid/scid及び+/+の7.3±1.6,5.7±2.9に比較して有意に高かった。scid/+は+/+よりAOM誘発突然変異体頻度が高いことから、AOMによるDNA損傷のDNA修復にはDNA-PKcsが関与し、haploid insufficiencyが存在することが示唆された。scid/+がscid/scidと比較して突然変異体頻度が高いのは、scid/scidは、突然変異が多く誘発されるためapoptosisが誘導され、結果として突然変異細胞が少なくなった可能性が考えられる。AOMにより誘発される大腸のapoptosisに関して各遺伝子型マウスを用いて解析する予定である。scid/+由来の変異プラークの変異スペクトラムは現在解析中である。 2.AOMで誘発される発がん性に対するDNA-PKcsのhaploid insufficiencyの影響 AOMを用いた投与実験は終了し、現在、組織学的解析を行っている。
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