研究課題/領域番号 |
15590711
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
蒔田 直昌 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00312356)
|
研究分担者 |
佐々木 孝治 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員
清水 渉 国立循環器病センター, 心臓血管内科, 医長
堀江 稔 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90183938)
|
キーワード | 致死性不整脈 / イオンチャネル / 遺伝子変異 / 遺伝子多型 / SCN5A / Brugada症候群 / QT延長症候群 / 心房停止 |
研究概要 |
(1)正常人・患者のゲノムの登録 現在までに正常ボランティア120人、先天性QT延長症候群(LQTS)30例、後天性LQTS4例、無症候性Brugada症候群(BS)30例、有症候性BS37例、心房停止2例の末梢血よりゲノムを抽出し登録した。 (2)遺伝子変異の同定 先天性LQTS1例、後天性LQTS1例、無症侯性BS1例、有症侯性5例、心房停止1例にSCN5Aの遺伝子変異を同定した。 (3)遺伝子変異の機能解析 SCN5AのcDNA hNav1.5に上記8種類の変異を導入し、tsA201細胞に一過性トランスフェクションし、パッチクランプで全細胞Na電流を測定し、変異Naチャネルの機能を解析した。有症候性BS変異5例のうち中2例と心房停止1例の変異は無機能チャネルであった。先天性・後天性LQTS症例は典型的な3型LQTS様の遅延電流を示した。無症候性BS症例に見られた変異は同一exon上のdouble mutationであり、Na電流を低下させる特徴的なチャネル機能異常を示した。後天性BSの一例の機能異常は軽微であったが、その他の変異は典型的な機能低下を示した。 (4)SCN5Aの遺伝子多型(SNP) 以前から報告されているSCN5AのSNPのほかに、新たな2種のSNP V1951L,・L1988Rを同定した。これらのSNPについて正常人、有症候性・無症候性BS患者のallele頻度をTaqman PCR法によって明らかにしたが、Brugada症候群症例にこれらのSNPが多い傾向は見られなかった。これらのSNP Naチャネルの機能と1群抗不整脈薬であるフレカイナイドの薬効を(3)と同様の手法で解析したが、現時点では1群抗不整脈薬に感受性が強いNaチャネルSNPはなかった。 (5)総括 無症候性BSに遺伝子変異が同定されたのは本研究が世界的にも初めてであり、非常に重要な知見である。心房停止に認められたSCN5A変異は、我々の関連で2例目、世界的にも4例目である。これらの2症例に関して日本循環器学会などで報告し、英文論文の作成中である。SNPおよび薬理学的解析に関しては引き続き検討を続ける。
|