動物実験:Ratを用いて、冠動脈を結紮することにより心筋梗塞モデルを作成した。心筋梗塞作成後、以下の4群に分けて経時的に検討した。1.前期(急性期)抑制群:心筋梗塞作成後、1週間のみONO-4817{マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)抑制剤;MMPI}を投与する群(n=6)。2.後期(慢性期)抑制群:心筋梗塞作成後2週目からMMPIを投与する群(n=6)。3.前期および後期抑制群:心筋梗塞作成直後から4週間に渡りMMPIを投与する群(n=6)。4.対照群:心筋梗塞後MMPIを投与しない群(n=5)。ONO-4817は100mg/kg/dayの容量で心筋梗塞作成後、直ちに経口投与を開始した。心室リモデリングの指標として心筋梗塞作成後、毎週心臓超音波検査を実施し、左室拡張期、収縮期内径および左室壁応力を測定した。ONO-4817は心筋梗塞後の左室リモデリングを抑制し、心筋梗塞作成直後より投与を開始した前期および後期抑制群が他の3群に比較して有意にリモデリングを抑制した。 臨床的検討:冠動脈バイパス術を施行された冠動脈疾患47症例より術中に採取した心嚢液中のゼラチナーゼ(MMP-2およびMMP-9)活性を定量的ゼラチンザイモグラフィにより測定し、酵素免疫抗体法より求めた酸化ストレスの特異的マーカーである8-iso-prostagrandin F2α(8-iso-PGF2α)との関係を検討した。MMP-2およびMMP-9活性は標準MMP-2に対する比として算出した。心嚢液中MMP-2活性は術前の左室造影より求めた左室拡張期末期容量係数および左室収縮期末期容量係数と正相関を示した。MMP-9活性は左室拡張期末期容量係数と正相関を示した。MMP-2およびMMP-9活性と8-iso-PGF2αは正相関を示した。
|