研究概要 |
平成15年度の研究計画に従い、下記の研究成果を得た。 (1)SERCA2転写活性化薬の創薬 一次スクリーニング:SERCA2遺伝子プロモーターをpGL3ルシフェラーゼレポーターベクターに接続し、H9C2培養心筋細胞系列に遺伝子導入し、約60,000種の化合物からなる薬剤ライブラリーをスクリーニングした。転写活性を1.5倍以上上昇させる化合物を9種ほど得た。スクリーニングされた化合物をラット初代培養心筋細胞に添加し、SERCA2遺伝子の転写活性およびmRNA発現量が増加することを確認した。現在、代謝安定試験、細胞生存率の検定を行いながら、薬剤の最適化を行っている。 (2)SERCA2遺伝子による遺伝子治療 レンチウイルスベクターはhuman elongation factor-1 promoter下にSERCA2cDNAを、また、Internal ribosomal entry site下にGFP遺伝子を接続したベクターを構築した。これを培養心筋細胞に導入し、1)導入したSERCA2遺伝子の発現の確認、2)SERCA2蛋白の増加を確認した。現在、これを実験動物に応用し、低体温下に心停止させた心臓に冠動脈を経由して遺伝子導入を行い、実験動物個体での心臓への遺伝子導入の効率について検討している。 (3)RNA interference法を用いたPhospholambanの抑制によるSERCA2蛋白の機能亢進 Phospholamban遺伝子の蛋白転写領域21核酸を選定し、ここに対する2本鎖RNAを合成し、Phospholamban siRNA導入システムを構築した。HVJエンベロープベクターを用い封入し、培養心筋細胞に遺伝子導入し、Phospholamban siRNA導入による発現抑制を確認した。現在、(2)同様に実験動物に応用し、実験動物個体での心臓への遺伝子導入の効率について検討している。
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