研究課題
基盤研究(C)
緑色蛍光蛋白(GFP)陽性骨格筋細胞を心筋細胞と共培養すると、GFP陽性細胞の一部が心筋特異的トロポニンT(cTnT)を発現し、骨格筋由来細胞の一部が心筋細胞の形質を獲得したと考えられた。平成15年度は、この形質転換に機械的刺激、Ca^<2+>および増殖因子、calmodulin, calcineurinが関与するか検討した。その結果、nifedipineは共培養におけるcTnT陽性骨格筋細胞数を減少させたが、機械的伸展刺激はその減少を抑制した。また、calmodulin抑制薬、calcineurin抑制薬は共培養におけるcTnT陽性骨格筋細胞数を減少させた。各種成長因子は影響を与えなかった。平成16年度は骨格筋細胞を心筋細胞と共培養し、骨格筋細胞が心筋細胞の形質を獲得する機序について検討した。GFP発現マウス由来骨格筋細胞とLacZ遺伝子を導入した心筋細胞を共培養した。その結果、GFP陽性、cTnT陽性細胞の70-80%はβ-galactocidase陽性、つまり細胞融合を起こしていたことが明らかになった。そこで、骨格筋以外の体性細胞も心筋細胞と細胞融合することにより、心筋細胞の形質を獲得、維持するかについて検討した結果、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)および心筋線維芽細胞を心筋細胞と共培養すると、細胞融合により心筋の形質を獲得した。融合細胞における心筋細胞の形質を持つ細胞の割合は時間依存性に増加したが、骨格筋、内皮、心筋線維芽細胞の形質を維持する細胞の割合は減少した。免疫抑制をしたGFPラットの心臓に赤色蛍光蛋白(RFP)発現骨格筋細胞またはHUVECを移植すると、1週間後にGFP陽性、RFP陽性の融合細胞が存在し、心筋特異的蛋白を発現していた。次に、骨格筋の幹細胞の分画と考えられるside population (SP)細胞およびSca-1陽性細胞が心筋細胞へ分化可能か検討した。GFP発現マウスの骨格筋由来SP細胞またはSca-1陽性細胞を心筋細胞と共培養すると、細胞融合、形質転換両方の機序で心筋細胞の形質を獲得した。我々は骨格筋由来SP細胞またはSca-1陽性細胞を単独で心筋細胞に分化させることが可能か種々の成長因子について検討したが、心筋細胞には分化しなかった。
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