研究概要 |
野生型マウス(WT)、MKノックアウトマウス(MKK0)それぞれの左冠動脈前下行枝を60分結紮したのち再解放して心筋虚血再灌流モデルを作製した。WTでは再灌流後MK蛋白発現の経時的変化をWestern Blottingで評価し、免疫組織染色にてMK分布の状況を調べた。さらにMKKO-WT間で虚血再灌流後の障害面積、心エコー、血清CPK、TUNEL法によって障害程度の比較をおこなった。 Western Blottingでは、心筋虚血再灌流6時間後からMKの上昇を認め、24時間後にピークを示した(3.2±0.8% from baseline, n=3)。また再灌流24時間後の免疫組織染色では梗塞巣周辺部に強いMKの発現を認めた。再灌流24時間後の障害面積(梗塞サイズ/虚血危険域)はMKKOが有意に大きく(58.4±5.3%,n=7, vs. 31.6±3.3%,n=6, P<0.05)、CPKも有意に高かった(1950±27 IU/l,n=8, vs. 1557±38 IU/l,n=8, P<0.05)。心エコーでは、術前および術直後はMKKO-WT間で特に差を認めなかったが、再灌流24時間後ではMKKOにおいてLVFSが有意に低下していた(19.3±1.4%,n=8, vs. 33.4±1.5%,n=8, P<0.05)。また梗塞巣周辺部位でのTUNEL陽性細胞はMKKOで有意に多く認められた(10.5±2.3%,n=5, vs. 7.2±1.1%,n=5, P<0.05)。再灌流24時間後のBcl-2上昇率はWTで高い傾向を示した。 MK蛋白は心筋虚血再灌流24時間後にて発現のピークを示し、梗塞巣周辺部に強い発現を認めた。MKKOではWTと比較して虚血再灌流後の心筋障害が著しく、そのメカニズムとしてMKの抗アポトーシス作用が関与していることが示唆された。
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