研究概要 |
前年度に引続き、高血圧心の線維化病巣形成におけるテネイシンCの役割を解明するために、ノックアウト、コンディショナルトランスジェニックマウスを用いてアンジオテンシンII投与による心筋線維化を作製することにより、生体内での役割を解析と、培養心臓線維芽細胞用いてテネイシンCの発現制御機構および分子機能の解析を試みた。 1.テネイシンCノックアウトマウスを用いた検討 アンジオテンシンIIを500ng/kg body weight/分、4週間持続投与すると、収縮期圧150mmHg程度の軽度高血圧を生じた。血圧上昇の程度に、野生型と差は見られず心肥大の程度にも差が見られなかったが、心筋組織の病理学的解析で、心筋内の血管周囲にマクロファージの浸潤、プロテオグリカンの沈着、膠原線維の増加が有意に少なかった。 2.テネイシンC過剰発現マウスを用いた検討 smooth muscule actin-promotor CreマウスおよびInducible myosin heavy chain promotor Creマウスと、我々の作製したCAG-lox-stop-lox-テネイシンCトランスジェニックマウスのFlで心臓線維化病変部位でのテネイシンCを過剰発現させ、肥大、線維化の程度を野生型モデルと対比したが、組織形態学的には、明らかな差は認められなかった。さらに、smooth muscule actin-promotor CreマウスとのFlにアンジオテンシンII負荷を行ったところ、血圧は野生型と同様に軽度上昇し、心筋肥大、線維化に関して現在のところ明らかな差は認めていない。 3.培養系での機能解析 心臓由来の線維芽細胞に精製TNCを作用させても、コラーゲンI, IIIのmRNA発現レベルをリアルタイムPCRで評価したが,発現レベルに変化は見られなかった。
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