研究課題
心不全の病態形成が単一の因子で形成されることはないという事実から、不全心での特異的発現タンパク質の同定、病態下で発現変化するタンパク質を網羅的に探索することが重要であると考えられる。我々はプロテオーム解析によるディファレンシャルディスプレーを取り入れ、頻拍誘発性心不全イヌモデルを用いて、心筋組織でのタンパク質発現を正常心筋と比較し、特異的発現タンパク質の同定を行った。不全心にて36タンパク質スポットが正常心と比して変化しており、特に発現増加の大きい8スポットについて2DE/MALDI-TOF MSによるプロテオームプロファイリング、質量分析データーベース解析を行った。その結果alpha B-crystallinやsmall heat shock protein (HSP)27、HSP20が不全心にて有意に増加していることを同定した。これらはsmall heat shock protein群に属し、心不全ではnative formではなくalpha B-crystallinに関して言えば、59番目のセリンのリン酸化型、HSP27では47、62番目のセリンのリン酸化型が心不全で有意に増加していた。転写後リン酸化修飾を受けることで、small HSPは抗アポトーシス作用等の心保護作用を発揮すると考えられ、心不全の病態形成に重要な働きをしていることが示唆された。この研究成果は第69回日本循環器学術総会にて発表した。
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