研究課題
基盤研究(C)
タンパク質発現は翻訳後修飾を受け、ゲノム解析であきらかになった遺伝子がコードする個体レベルの数よりも実際の病態でのタンパク質発現量は何倍も多くなっている。心不全の病態形成が単一の因子で形成されることはないという事実から、遺伝子探索のみでなく不全心で発現変化するタンパク質を網羅的に探索することが大変重要であると考えられる。そこで我々はその研究方法としてプロテオーム解析によるディファレンシャルディスプレーを取り入れた。頻拍誘発性心不全イヌモデルを用いて、その心筋組織でのタンパク質発現を正常心筋と比較し、発現検証、特異的発現タンパク質の同定を行った。2次元ゲル上に約500個のスポットを認め、不全心にて20タンパク質スポットが正常心と比して変化していた。特に発現増加の大きい9スポットについて2DE/MALDI-TOF MSによるプロテオームプロファイリング、質量分析データーベース解析を行った結果、alpha B crystallinやsmall heat shock protein (HSP) 27,HSP20等が不全心にて有意に増加していることを同定した。翻訳後修飾を受けてタンパク質が機能することから、small HSPの重要な修飾過程としてのリン酸化を検討したところ、不全心で増加しているalpha B crystallinやHSP27はリン酸化フォームが増加している事が明らかになった。これらのsmall HSPはリン酸化することで、単に心負荷の急性期の応答タンパクとして発現するのでなく、慢性の心不全形成過程において発現増加し、血行動態や組織学的検討から、アポートシスや心筋拡張障害の病態形成に関与していることが示唆された。
すべて 2004 2003
すべて 雑誌論文 (9件)
J Cardiovasc Pharmacol 44
ページ: 596-600
Circulation J 68(11)
ページ: 1067-1075
Eur J Heart Fail 6(2)
ページ: 173-180
Circulation J 68(10)
Circulation 107(20)
ページ: 2555-2558
Circulation 107
ページ: 2559-2565