平成16年度には、15年度に引き続き、Janus kinase(JAK)-binding protein/suppressor of cytokine signaling 1/signal transducers and activators of transcription(STAT)-induced STAT inhibitor 1をCD11bプロモーターを用いて過剰発現させ、さらにapolipoprotein E欠損(apoE^<-/->)マウスと交配したJAB Tg/apoE^<-/->マウスとJAB WT/apoE^<-/->マウスの交配を続けるとともに、大動脈の動脈硬化病変を評価した30週齢のマウスから採取した血清試料を用いて、総コレステロール(T-CHO)値とtriglyceride(TG)値を測定した。その結果、T-CHO値はJAB WT/apoE^<-/->マウス530±102mg/dL、JAB Tg/apoE^<-/->マウス434±28mg/dL、TG値はJAB WT/apoE^<-/->マウス110±51mg/dL、JAB Tg/apoE^<-/->マウス95±32mg/dLと、いずれも全く差を認めなかった。また、全個体の動脈硬化病変の面積比(大動脈内腔表面積に対するoil red-O陽性領域の面積比)と、血清T-CHOレベルおよびTGレベルそれぞれとの相関は認められなかった。 これらの結果から、JAB WT/apoE^<-/->マウス群と比べて、JAB Tg/apoE^<-/->マウス群に見られた動脈硬化病変面積比の低下傾向(p値=0.07)は、全身的な脂質代謝への影響によるものでは無いことが確認された。
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