研究概要 |
急性心筋梗塞や脳梗塞等の心血管病変は血小板活性化が引き金となる急性動脈血栓症により発症する。血小板濃染顆粒から放出されるADPやセロトニンは血小板に対するアゴニストであり、血小板活性化のポジティブフィードバック機構に重要である。最終的にはインテグリン(αIIbβ3)の活性化により、血小板どうしが凝集する。活性化に伴い細胞内で生じている反応の分子メカニズムに関しては多くのことが解明されていない。それは、血小板には核が無く、蛋白産生能がないため、分子生物学や生化学をその研究に用いることが困難であったことが、我々は、Streptolysin Oを用いて形質膜を透過型にした血小板を用いた顆粒放出と凝集反応の解析系を確立した。顆粒放出では、我々は既に、必須細胞質因子のひとつを精製し、PKCαと同定し(Yoshioka et al.,JBC,2001)、また、低分子量GTP結合蛋白質Rab4がα顆粒分泌を制御していることも見出している(Shirakawa et al.,JBC,2000)。本年度の研究では、Rab27が濃染顆粒放出に必須であること、GTP-Rab27結合タンパク質としてMunc13-4を見いだし、Rab27はMunc13-4を介して濃染顆粒放出を制御していることを見いだした(Shirakawa et al. JBC, in press)。形質膜を透過型血小板を用いた凝集アッセイ系を確立し、低分子量GTP結合蛋白質Rhoがトロンビンによる凝集を制御することをすでに報告している(Nishioka et al., BBRC,2001)。最近、本アッセイ系を改良することができ、ATP及び細胞質依存性とすることができ、本アッセイ系を用いて、PKCαが血小板凝集に必須であることを直接的に証明した(Tabuchi et al.,JBC,2003)
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