研究課題
1、ダール食塩感受性ラットに対し高食塩食を7週齢より開始して作成する高血圧性拡張不全モデル、同ラットに対し高食塩食を8週齢より開始して作成する高血圧性収縮不全モデルにおいて、各々高食塩食開始3週間後(10ないし11週齢)、13週齢の代償性肥大期で心エコーデータを記録後、sacrificeを行い、その組織を用cDNA array法を用いて、8800種類のmRNAの発現状況を検討している。各々のコントロールとして、同週齢の正常食で飼育し高血圧を発症しないダール食塩感受性ラットを用いている。これまでのところ、拡張不全モデル10週齢と収縮不全モデル11週齢のサンプルの比較により、拡張不全で25種類の物質のmRNAの発現亢進、10種類の物質のmRNAの発現低下を認めた。現在、これらのmRNAの変化をreal time RT-PCR法を用いて、また蛋白量の変化をウエスタンブロッテイングを用いて再検討を行っている。2、拡張不全モデルでは、線維化等の組織学的変化に伴って、マクロファージの浸潤など炎症性反応の亢進、酸化ストレスの増大が認められた。このような変化はレニン-アンジオテンシン系をブロックすることにより軽減することも明らかとなった。しかし、従来よりこのような炎症性変化との強い関連が指摘されているmonocyte chemoattractant protein(MCP)-1やtumor necrosis factor(TNF)-αの遺伝子発現は、レニン-アンジオテンシン系のブロックによる炎症性変化の軽減に伴う変化が認められないことも明らかとなった。
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