研究課題/領域番号 |
15590744
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青木 元邦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00346214)
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研究分担者 |
森下 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 寄付講座教員(客員教授) (40291439)
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キーワード | キメラデコイ / 大動脈瘤 / MMP / NFkB / ets / 再狭窄 / J-PRAN / 分子治療 |
研究概要 |
本研究では核酸医薬を用いた血管疾患への新しい分子治療法の確立を目的としている。既に転写因抑制療法である二重鎖核酸医薬(おとり型核酸医薬)デコイ療法の有用性について我々は報告してきたが、今回は特に複数の転写因子活性を同時に阻害できるキメラデコイを作成し、その有用性を検討した。 1)大動脈瘤に対する抑制効果 ラット大動脈瘤モデルを用いて検討。動脈瘤進展にマトリックス分解酵素(MMP)が深く関与していることに注目し、MMPを制御する転写因子NFkB及びetsのキメラデコイを作成した。またNFkBは接着因子を制御する転写因子であることも知られており、MMPを分泌する主たる細胞であるマクロファージの遊走・浸潤を抑制する効果も得られる。新規にデコイデリバリーシートを作成し、血管壁へのデコイ導入はMMP産生を抑制し、また炎症性細胞浸潤を抑制して動脈瘤拡大を有意に阻害した。さらにウサギにおいても検討したが同様の効果が得られ、さらに興味深いことに既に拡大した瘤に対しても退縮作用も認められた。大動脈瘤に対する低侵襲的な治療法の可能性を示唆した。 2)再狭窄に対する有用性 ウサギグラフトモデルにおいて、キメラデコイは炎症性細胞浸潤を抑制し、グラフト後再狭窄を有意に抑制した。デコイの導入には移植血管への圧負荷にて導入可能であることも示し、簡便な方法として臨床応用も可能であると考えられる。ブタ冠動脈再狭窄モデルにおいてもNFkB単独デコイで内膜肥厚を抑制しており(血管造影及びIVUSにて確認)、このデータをもとに既に臨床研究(Japan Trial to Prevent Restenosis After Angioplasty or Stent using NFkB decoy Oligodeoxynucleotides as Gene Therapy(J-PRAN))を実施中である。さらに強力な効果を得るべく、NFkB/E2Fキメラデコイの効果を現在検討中である。
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