研究概要 |
不全心筋で上昇している蛋白ホスファターゼ1活性(PP1)を補正したときに、心不全の進行が抑制されるかどうか、心筋症ハムスター高効率遺伝子導入モデルを用いて検討した。 心筋症ハムスターでは心不全を発症する28週齢においてSRを含むマイクロソームにおけるPP1catalytic subunitの蛋白発現が亢進しPP1上昇のメカニズムであると示唆された。Inhibitor-2 (I-2)は、筋小胞体を含む分画であるマイクロソームでのみ蛋白発現が確認できる内因性PP1特異的阻害蛋白である。すでに心機能が低下し心不全症状が発現している15週齢の心筋症ハムスターに対し心不全ハムスター高効率心筋遺伝子導入で1-2を導入し心機能、心不全の経過を観察した。アデノウイルス.I-2導入群では遺伝子導入前に比べ遺伝子導入1週間後、明らかに左心室内径が縮小し、%FSでは経時的な低下が抑制された。すなわちSRマイクロソーム分画における蛋白ホスファターゼ1のI-2による阻害は心不全進行における左室リモデリングを正常化し、左室壁ストレスを有意に低下させた。長期経過では生命予後も改善し、膜分画におけるPP1の阻害は心不全治療の有望なターゲットであることが示唆された。(Yamada et al.投稿中)。 心不全におけるCa2+制御異常に関してreviewを執筆した。(Yano, Ikeda, and Matsuzaki J Clin Invest 2005). 心不全に対する遺伝子治療の開発に関してreviewを執筆した(複数)。
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