研究課題/領域番号 |
15590773
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
本郷 賢一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00256447)
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研究分担者 |
草刈 洋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80338889)
小武海 公明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60360145)
川井 真 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40277025)
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キーワード | マウス心筋 / 細胞内カルシウム濃度 / アシドーシス / 心不全 |
研究概要 |
心肥大・心不全状態では心収縮力低下に加えて拡張障害も生じてくる。拡張障害は心筋収縮の弛緩相を延長させ病態の悪化に関与してくる。心筋虚血に伴う細胞内アシドーシスは、細胞内Ca動態を修飾することにより収縮・拡張障害を来すことが知られている。一方、心筋収縮は長さ依存性の内因性調節機構を備えており、拡張相も心筋長に大きく依存している。本研究では、マウス心筋収縮に対するアシドーシス及び心筋長の効果を検討し、特に収縮の拡張相への影響を解析することにより、拡張障害の細胞内メカニズムに迫りたいと考えている。次に圧負荷及び遺伝子改変モデルを用いることにより、病的心筋におけるアシドーシス及び心筋長の効果を検討していく予定である。 初年度は正常マウス心筋の細胞内Ca濃度と収縮張力の同時測定系を確立し、アシドーシス効果及び心筋長依存性変化について検討を試みた。マウス心臓より左室乳頭筋を摘出し、その表層細胞内にCa感受性発光蛋白エクオリンを圧注入し、電気刺激下で細胞内Ca濃度変化(CaT)と収縮張力を同時測定する。アシドーシス条件は、溶液を通常の5%CO2混和状態(pH=7.4)から15%CO2混和状態(pH=6.8)に変更することにより作成した。アシドーシス条件下では、張力は瞬時に減少するのに対しCaTは増加し、張力はアシドーシス持続中に若干の改善傾向を認めた。アシドーシスから通常溶液へ戻した際の回復期には、張力は一過性にアシドーシス前よりも増大し、その後徐々にアシドーシス前のレベルにまで回復した。次に静止時筋長を最大張力が発生する筋長(Lmax)、90%Lmax、80%Lmaxに設定し、アシドーシスの効果を検討した。アシドーシスよる張力変化は、短い筋長においてアシドーシス後回復期の収縮力が保持される傾向を認めた。これは急性収縮障害の一部に心筋長依存性調節が関与していることを示唆している。現在張力の時間経過を検討し拡張障害への影響につき検討中である。
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