研究課題/領域番号 |
15590773
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
本郷 賢一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00256447)
|
研究分担者 |
川井 真 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40277025)
小武海 公明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60360145)
草刈 洋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80338889)
|
キーワード | マウス心筋 / 細胞内カルシウム濃度 / 拡張障害 / 筋小胞体Caポンプ |
研究概要 |
本年度は、遺伝子改変モデル動物における拡張機能調節機構を検討し、拡張障害メカニズムの解明を試みた。 実験方法として、マウス左室乳頭筋標本にCa感受性発光蛋白エクオリン法を用いた細胞内Ca濃度と収縮張力の同時測定法、左室肉柱標本を界面活性剤サポニン処理したサポニンスキンド標本による筋小胞体機能評価法及び単一心室筋細胞に蛍光色素を用いた細胞内イオン濃度と細胞収縮の同時測定法を用いた。 筋小胞体Caポンプ(SERCA2a)を心筋特異的に過剰発現させたトランスジェニックマウス(SERCA-TG)においては、細胞内Ca濃度変化(CaT)と収縮張力は増大し、また両者の時間経過の短縮が見られた。一方で、筋小胞体Caポンプ機能を抑制するサルコリピン(SLN)を心筋特異的に過剰発現させたトランスジェニックマウス(SLN-TG)では、CaT及び収縮張力の著明な低下及び時間経過の延長が認められた。特に弛緩時間の延長は顕著に認められ、拡張障害の表現系と考えられた。同様の弛緩時間の延長は正常マウスにおけるアシドーシス環境下でも認められたが、SERCA-TGにおいてはアシドーシス時の収縮障害及び拡張障害の改善効果が認められた。また、SLN-TG心筋では、交感神経β-受容体刺激により収縮力及び時間経過の改善効果が認められ、収縮・拡張障害が減弱するものと考えられた。以上の結果はSERCA機能亢進により収縮障害のみならず拡張障害も改善することを示唆している。更に、本効果が筋小胞体内Ca貯蔵量の変化に起因するかどうかにつき、サポニンスキンド標本を用いて検討を行った。筋小胞体へのCa取り込み速度はSERCA-TGでは促進傾向が、SLN-TGでは減弱傾向が認められたが、Ca貯蔵量には有意な変化は認められなかったことより、一心拍毎のCa取り込み能の変化が拡張機能調節に重要であることが示唆された。
|